今では「パンケーキ」という単語を聞いた時、日本人なら誰でもふわふわと分厚く焼きあげられたものを思い浮かべるのではないでしょうか。現在大ブームとなっているパンケーキ専門店では、ほとんどがたっぷりと泡立てたメレンゲを加えた、分厚くてふわふわの食感を売りにしており、それが主流になりつつあります。しかし、実際にはそれらとは程遠いスタイルのパンケーキも世の中にはたくさん存在します。

実はフランスの「ガレット」や日本の「お好み焼き」も、メキシコの「パンケーケ」なども、世界から見れば「パンケーキ」の一種なのです。基本的には「小麦粉と卵を牛乳や水などで溶いて焼いたもの」が「パンケーキ」になるのですが、土地柄、小麦粉が調達できない地域や、トウモロコシなど他の穀物が豊富に採れる地域では、それらの材料で作られたものも「パンケーキ」と呼ばれています。つまり、広義で「穀物を粉末状にしたものを使って焼いたもの」全てはパンケーキである、と言ってもいいのではないでしょうか。名前や形は違っても、それらは長く広く人々から親しまれてきた郷土料理なのです。

日本では主にホイップクリームやコンフィチュール、フレッシュな果物などをのせたスイーツ系の方が、ソーセージやオムレツを添えたミール系よりも人気ですが、海外では基本的には食事として食べられることの方が多いのです。そこに添えられるトッピングなども、日本から見れば風変わりだと思うようなものがたくさんあります。例えば、ロシアなどでは(日本では)高級食材であるキャビアをのせて食べたりすることがあります。他にもイクラや新鮮なサーモンなど、広大な海に面した国ならではの魚介類などがよく添えられるそうです。お国柄がよくわかる一品です。日本も四方を海に囲まれた島国ですが、今人気のパンケーキ専門店ではおそらく、牡蠣や蟹、キャビアやイクラなど海の幸を添えたメニューは存在し得ないでしょう。

材料や添える物だけでなく、焼き方も、世界各地でそれぞれ違うものです。ころころと小さなサイズでたくさん焼いたり、フランスのガレットのように薄く焼いたり、薄く焼いたものを何層も重ねたりするものなど、様々です。日本のお好み焼きとたこ焼きは大きさや焼き方も全く違う料理ですが、どちらも海外から見れば「パンケーキ」の一種なのです。人は、自国で普及しているものがスタンダードだとつい思ってしまいがちですが、実は世界から見れば案外本質は同じものなのかもしれませんよ。